Acrobat AIアシスタントで業務効率化 生成AIを用いて資料をブラッシュアップし、説得力を高めるための方法

たけおか

デザイナー/ディレクター たけおか

  • 公開日

    2025.12.24

この記事は10分ほどで読めます

生成AIを用いて資料をブラッシュアップし、説得力を高めるための方法

「提案書や企画書を作る際、どうしても時間がかかってしまう」「プレゼン資料の誤字脱字チェックや表現のブラッシュアップに時間がかかりすぎる」というお悩みがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

筆者はWebデザイナー・ディレクターとして、デザインや戦略と同じくらい「資料の洗練性」が信頼に直結することを痛感しています。しかし、資料作成の終盤、疲労が溜まった状態での資料のチェックは非常にミスが出やすいものです。

そこで本記事では、AIツールを活用して、難解な文書の要約から提案書の「文字校正」と「表現のブラッシュアップ」までを効率よく行う具体的な方法を紹介します。

なお、今回の記事はアドビ社のPR企画「みんなのAI活用」に参加して執筆しています。

目次

    もう提案書づくりに消耗しない!AIがあなたの相棒になる時代

    Web制作会社のディレクターの皆様は、クライアントの課題解決という「本質的な思考」に集中すべき立場です。しかし、現実には多くの時間が提案書という「入れ物」の作成、特に最終的なチェックと修正に費やされてしまっています。

    • リサーチ工程: 分厚い資料の読み込みと要点抽出に時間を取られる
    • 最終チェック工程: 作成者が陥りやすい、誤字脱字、表記揺れ、冗長な表現の見落としを防ぐためのチェックに膨大な時間を割く

    とくに最終チェック工程における校正・ブラッシュアップ作業は非常に地味ですが、ここでミスを出すと提案全体の信頼性が損なわれてしまいます。ぎりぎりまで提案書を作成・調整したのに提出後にミスに気づく、という後悔は避けたいものです。

    AIツールで資料の「正確性」と「説得力」を同時に高める方法

    ここからは、AIツールを活用することで、リサーチ時間を短縮しつつ、提案書の最終的な「質」を担保する方法を解説します。

    • 最終チェックの自動化: AIツールで誤字脱字、表記揺れ、冗長表現を瞬時にチェックし、資料の正確性を担保
    • ロジックの裏付け: 難しい文書を効率的に理解し、客観的なデータで提案の説得力を補強

    AIツールは、リサーチから校正までの工数を大幅に削減し、ディレクターが本当に価値を生み出す「提案の論理と戦略」に集中できるようにしてくれるのです。

    知っておきたい!資料のブラッシュアップを助けるAIツールとは?

    資料のブラッシュアップを支援するAIツールは、特に「正確性」と「伝わりやすさ」の向上に役立ちます。その代表的なツールの一つがAdobe Acrobat AIアシスタントです。今回はこちらのツールを実際に使ってみたいと思います。

    Adobe Acrobat AIアシスタントの概要

    • PDFの内容をAIが解析し、要約、具体的な質問への応答に加えて、テキストの文法、表現、表記揺れに関するアドバイスを提供します。
    • 提案書を「完成度の高い最終成果物」へと押し上げるための編集アシスタントとして機能します。作成者自身では見落としがちなミスを徹底的に排除し、クライアントに渡す資料の品質を担保します。

    参照:Acrobat AIアシスタント

    提案書作成の悩みをAIで解決

    続いて、提案書作成の悩み別に、AIを活用した解決方法を紹介します。

    【悩み1】最終的な文字校正や表現の修正が面倒すぎる問題

    人間は自分の書いた文章を自然と補完して読んでしまうため、誤字脱字や表記ミスを見落としがちです。特に「てにをは」の間違いや、句読点、表記揺れ(例:「行う」と「行なう」)は、資料の完成度を大きく下げます。

    • チェックのために何度も読み返し、時間を浪費する
    • 小さなミスの見落としで、クライアントに「詰めが甘い」という印象を与えてしまう

    解決策

    Adobe Acrobat AIアシスタントは、PDF全体を構造的に解析し、文法チェック、表記揺れチェック、句読点の最適化を提案します。これにより、ディレクターは校正作業から解放され、より戦略的な思考に集中できるようになります。

    解決策

    【悩み2】提案書作成で「何を言えばいいか」迷ってしまう問題

    提案書の土台となる情報収集の段階で、分厚い資料の要約に手間取り、提案の核となるメッセージがぼやけてしまうという問題は、多くのディレクターが直面します。また、充実した提案書ができたものの、プレゼンの時間は限られておりクライアントにどこを訴求して良いのかと悩むことも多くあります。

    • 提案書に盛り込む事前資料の整理に、時間を浪費する
    • 限られたプレゼン時間で、提案書をうまく説明しきれない

    解決策

    そんな時、Acrobat AIアシスタントに「この資料の最も重要なポイントは?」と聞くだけで、資料の核となる情報を数秒で提示させることができます。これは事前の情報整理や、提案書作成後の要約にも有効です。この「情報の優先順位付け」をAIに手伝ってもらうことで、提案の核が明確になり、自信を持ってプレゼンに臨むことができるようになります。

    実践!AIツールで提案書の「正確性」を高める

    クライアントは、提案のロジックだけでなく、資料の細部にまで宿る「プロ意識」を評価します。誤字脱字や表記揺れのない、洗練された資料は、あなたのプロフェッショナリズムを伝えるための第一歩です。

    Acrobat AIアシスタントは、この最終的な品質向上を瞬時に完了させ、あなたの提案書に揺るぎない説得力を与えます。

    実用的!Acrobat AIアシスタント3つの活用例

    提案書作成フェーズにおけるAIアシスタントの具体的な活用法を見ていきましょう。

    【活用シーン1】文章の冗長性・表現の最適化

    長すぎる文章や、回りくどい言い回しをAIにチェックさせます。

    AIへの質問例: 「この段落の文法と表現をチェックし、より簡潔な修正案を教えて。」

     

    結果: AIが「することができるため」のような冗長な表現を指摘し、「することで」といった簡潔な修正案と理由を提示します。これにより、読みやすく、伝わりやすい文章に改善できます。

    【活用シーン2】表記揺れ・句読点の統一チェック

    資料全体で使用している言葉の揺れや、句読点の使い方(全角・半角、不要な読点など)を統一させます。

    AIへの質問例: 「この提案書で使用されている『行う』と『行なう』の表記揺れをチェックし、統一するよう指示してください。」

     

    結果: AIが「行う」に統一する案や、句読点の位置に関する具体的な改善点を提示します。これにより、資料の品質が飛躍的に向上します。

    【活用シーン2】表記揺れ・句読点の統一チェック

    【活用シーン3】難解な資料の要約と引用元の抽出

    最終的な提案の根拠となる、難解な業界レポート(PDF)の内容を瞬時に把握します。

    AIへの質問例: 「これらの資料の要点を5つに要約し、最も重要なデータとその引用元のページ番号を教えて。」

     

    結果: AIが核心的なデータと引用元を明確化してくれるため、提案の論理を補強し、クライアントからの信頼性を高めることができます。

    活用シーン3-1

    活用シーン3-2

    【実施例1】難しい文書の要約に活用

    実際に、AIアシスタントを使って難しい文書を読み解いてみました。今回はデジタル庁発行の「ウェブアクセシビリティ導入ガイドブック」を読み込んでみました。
    出典:デジタル庁|Webアクセシビリティ導入ガイドブック(策定日:2025年10月16日)

    【実施例1】難しい文書の要約に活用64ページもある資料PDFの要約をさっとやってくれました。資料を元に提案に盛り込むのに便利です。資料でわからない部分について質問すると、簡単に答えが返ってきます。AIの回答と引用元の番号が文書と連動しているので、裏付けを確認するのもわかりやすくなっています。

    読み込んだ情報の中からのみ回答してくれるので、勝手に情報を作られてしまうこともなく、ハルシネーションを起こしにくいため信頼性が高いといえます。

    【実施例1】難しい文書の要約に活用

    【実施例2】提案書の文字校正に活用

    AIアシスタントを使って提案書の文字校正をしてみました。表現についてもアドバイスがもらえ、表記揺れや句読点のチェックもできるので、提案書の仕上げに使うと精度が上がります。

    さらに、表現を言い換えられる箇所は、もっとよい表現に言い換える提案もしてくれました。完成した資料をブラッシュアップするのに最適なツールといえます。【実施例2】提案書の文字校正に活用

    【実施例2】提案書の文字校正に活用

    【実施例3】プレゼン用に提案書の抜粋版を作成

    AIアシスタントを使って提案書の抜粋版を作成してみました。69ページのボリュームの提案書を30分のプレゼン時間におさまるよう、20ページ程度に重要な情報だけ要約して欲しいという要望にも応えてくれます。提案書を共有しながら、この要約部分だけを解説することでプレゼンもスムーズに進めることができます。【実施例3】プレゼン用に提案書の抜粋版を作成

    Acrobat AIアシスタントの便利機能まとめ 

    Acrobat AIアシスタントには、上記の他にもさまざまな機能があります。便利な機能を活用して業務の効率化につなげましょう。

    なおAIアシスタントは無料でお試しできるので(回数制限があります)、便利機能を体験してみてください。

      • 自動要約機能
        ドキュメントを開くと内容を解析し、要約と主要トピックを提示。効率的に全体像を把握するのに便利です。

     

      • インタラクティブなチャット機能
        チャット形式で質問ができ、ドキュメント内容に基づいた回答を生成。専門的な資料も対話を通じて簡単に理解を深められます。

     

      • 安心のセキュリティ体制
        高水準のセキュリティ対策により、アップロードされたドキュメントやAIとの対話データが外部の学習データとして利用されることなく、機密文書も安全に利用可能。

     

      • 複数PDF横断機能
        複数のPDFを同時に読み込み、横断的な分析や検索が可能。複数のスライドから共通メッセージの抽出などに活用できます。

     

      • 引用元の明確化
        AIの回答に脚注(リンク)が付与され、情報の正確性を即座に確認可能。AIが事実とは異なる情報を勝手に作り出す「ハルシネーション(幻覚)」を起こしにくく情報の正確性が担保できます。

     

      • PDFごとの履歴管理
        各PDFごとに会話履歴を保存し、プロジェクトごとの情報整理が容易。プロジェクトごとに情報が整理され作業効率を向上させます。

     

      • 多様なファイル形式への対応
        PDF以外にもWord、PowerPoint、テキストファイルを読み込み可能で、形式を問わず分析・要約が可能。利便性が高いツールです。

     

    AIツールを便利に活用して提案書作成の負担軽減

    提案書作成のゴールは、提出して終わりではありません。質の高い提案書を作成し、自信を持ってプレゼンを成功させ、次の案件につなげることが目的です。 

    最終チェックの「安心感」が、次の提案を生む

    AIツールが提供する「高い正確性」と、難解な文書からの「客観的なデータ裏付け」により、提案書全体の品質が保証されます。

    ディレクターは、校正という機械的な作業から完全に解放され、「どう見せるか」「どう話すか」という戦略的な部分に集中投資できるようになるのです。クライアントから「どこからこのデータは?」と聞かれても、正確なソースをすぐに示せる安心感は、ディレクターの自信にも繋がります。

    AIに任せて「本当に考えるべきこと」に集中しよう

    AIは資料作成の機械的な作業(校正、要約、引用検索)を担う強力なアシスタントです。

    ディレクターの最も重要な仕事は、「クライアントの事業課題を深く理解し、その解決策を提案すること」です。AIに任せることで、あなたは細かい資料整理から解放され、この最も重要な思考に集中する時間を創出できます。

    AIはあくまでツールであり、最終的な提案書の構成、戦略、そしてクライアントへの熱意はディレクター自身が練り上げるべきものです。

    AIを使いこなすスキルを身につける

    AIはすでに、Webディレクターの業務に欠かせないインフラになりつつあります。この進化から目を背けるのではなく、積極的に活用し、自身のスキルセットを拡張していくディレクターこそが、次の時代を作ります。

    Adobe Acrobat AIアシスタントなど自分にあったAIツールを導入し、業務効率につなげていきましょう。

    たけおか

    この記事を書いた人 デザイナー/ディレクター たけおか

    デザイナー歴17年。もともと事務の仕事をしていたが、一念発起してデザイナーに転身。現在はディレクション担当。ユーザーの目線に立った効果の出るチラシづくりなどが得意で、クライアントとの打ち合わせでもユーザー目線に立った説明ができるのでリピーター率が高い。趣味は読書で、好きなフォントは『筑紫A丸ゴシック』と『DIN』。

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