見込み客を育成するストーリー MA(マーケティングオートメーション)の「シナリオ」とは?成果を上げる方法やポイントを解説

ミニナレ編集部

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MA(マーケティングオートメーション)の「シナリオ」とは?成果を上げる方法やポイントを解説

マーケティングオートメーションを使ったことが無いと「シナリオ」という言葉に戸惑いを覚えると思います。
「シナリオ」という言葉から見込み客を育成するストーリーであることは想像できると思いますが、その設計と作業は漠然としていて、多くの企業がMA導入をためらっている原因ともなっています。

 

この「シナリオ」に関して理解を深めていきましょう。

目次

    マーケティングオートメーション(MA)のシナリオとは

    MAの「オートメーション」とは見込み客と自動的にコミュニケーションを行うことを表しています。

    実際にコミュニケーション方法はWeb、メール、SNS、チャットボットなどのツールで行います。

    そしてコミュニケーションの内容はコンテンツとなります。ここで言うコンテンツは「メールコンテンツ」「Webコンテンツ」「SNSコンテンツ」「チャットボットコンテンツ」です。

    これらツールとコンテンツを「誰に」「なにを」「いつ」「どのように」届けるかを設定し自動的にコントロールするの物がシナリオとなります。まさにオートメーションのかなめです。

    シナリオ設計のしかた

    MAのシナリオは、上記の通り「誰に」「なにを」「いつ」「どのように」が重要な点ですが、いきなりシナリオから作り始めるのではなく、ターゲットの選定と理解を行うことが重要です。

    まずペルソナ(ターゲットを具体的にイメージ)、カスタマージャーニー(ペルソナの情報収集活動の傾向)を用いてターゲットの理解を深めます。
    ペルソナとカスタマージャーニーについてはこちらの記事をご参照ください。

    できればペルソナは複数ターゲットを想定して優先順位を決めるのが良いでしょう。

    ペルソナとカスタマージャーニーを決定した上で「誰に」「なにを」「いつ」「どのように」を設計していきます。設計はできれば「基本設計」を作ってから「フロー図(MAに投入する詳細設計)」の順番で工程を踏むのが良いと思います。

    基本シナリオ

    基本シナリオは「誰に」「なにを」「いつ」「どのように」を表形式でまとめると誰にでもわかりやすくまとまります。また重要な点はシナリオではありませんが「目的」「目標」を設定することです。これがないとシナリオ実施後にPDCAが回せません。

    「誰にでもわかりやすく」という点は重要です。マーケティングオートメーションで効果を出すにはターゲットの理解が重要です。

    同じ会社内でもターゲットをすべて理解している人はいないと思います。例えば新規開拓時の見込み客は営業が最も把握し、既存顧客のアップセル、クロスセルはカスタマーサービス部が理解をしているケースが多くあります。こうした各部署の経験と英知を結集し設計に生かすことでMAの効果が高まります。

    そのための設計書として活用するのが「基本シナリオ」となります。それぞれの項目は以下のように設計していきます。

    (1) 「誰に」(シナリオのターゲットを決める)

    「誰に」は非常に広い設定になります。例えば「メルマガ登録客」「名刺交換客」「資料ダウンロード客」「イベント、セミナー参加客」「キャンペーン登録客」・・・・・などなど。「メルマガ登録客」の場合は、永続的なシナリオになりますが「セミナー参加客」は短期のシナリオになります。

    (2) 「何を」(ターゲットに何をしたいか決める)

    「何を」は目的と連動することが多いと思います。
    例えば

    「ターゲットの詳細情報を取得したい」という場合:「ホワイトペーパー」のダウンロード
    「育成度合いを知りたい」という場合:「メールマガジン」「Webコンテンツ」の閲覧
    「比較検討に進んでもらいたい」場合:「チャットボット」の利用、「比較検討資料」のダウンロード

    となります。

    (3)  「いつ」(ターゲットとのコミュニケーション時期を決める)

    「いつ」はターゲットとコミュニケーションを取る時期を定めます。
    例えば

    「メルマガの開封アクション後」
    「セミナー参加の翌日」
    「ホワイトペーパーダウンロードの一週間後」

    などターゲットの興味がもっとも高まり、さらにターゲットが嫌悪感を感じないタイミングを想定し狙い撃ちします。

    (4)  「どのように」(ターゲットとのコミュニケーション方法を決める)

    どのMAでもコミュニケーションツールの基本は「メール」となります。しかしメール以外でも「Webページのパーソナライズ」「SNS」「チャットボット」、また「インサイドセールス」、「郵便のDM」などもツールと言える場合もあるため最適なツールを選択します。

    (5) 「目的」と「目標」

    最後に「目的」と「目標」を記載し当初の設計目的と目標を忘れないようにします。シナリオ設計段階では、形式的な情報とも感じますが、シナリオ実施後のPDCAでは大きな力を発揮しますので手抜きなく記載したいところです。

    フロー図

    フロー図はMAの機能により図の作り方が変わりますが、実施アクション、各種パラメータ設定、分岐の3点は基本となるので、この3点をわかりやすくフロー図にしてみましょう。

    成果を上げる!MAシナリオの作り方

    マーケティングオートメーション(MA)のシナリオ作成の方法、フレームワークを解説しましたが、シナリオが作れるようになっても「成功する」シナリオを作るためにはいくつかポイントがあります。
    MA導入の成功と失敗を左右する大切なノウハウでもあり、絶対に実践してほしい3つのポイントを解説いたします。

    POINT -ポイント-

    ・初めからシナリオを数多く作らない、壮大なシナリオを作らない
    ・最初はホットリードの獲得からシナリオ化を行う
    ・トライ&エラーが基本、シナリオとスコアリング

    初めからシナリオを数多く作らない、壮大なシナリオを作らない

    MAを導入したとき、担当者としては見えてこなかった顧客像が見るようになり、受動的なマーケティング活動から能動的な活動ができる期待感から、張り切ってしまう事が多いと思います。

    有りがちな失敗として「コントロールできないほどの数多くのシナリオを作ってしまう事」、そして「ゴールに到達が難しい壮大なシナリオを作ってしまう事」です。この2つが導入初期の失敗例の代表格です。これらを避けるために以下を確実に実践したいところです。

    1カ月に一回のPDCAが回せる数にシナリオを絞る

    MAの運用は意外と手間がかかります。

    第一にコンテンツを作る必要があります。メール文章、Webコンテンツ、そのほかPDFなどの資料、この3つは最低限必要になります。

    さらに、これらコンテンツを活用したシナリオを作り、実行した上で、効果検証と課題確認が必要になります。

    こうしたPDCAを確実に行うには、管理できるシナリオ数に絞り、これを運営し、それが成功したら次のシナリオに進むという手順が必要です。MAの運用にこなれてくれば、ノウハウの蓄積も相まって、必然的にこなせる量は増えます。心配せずに初めはノウハウを貯めることに注力しましょう。

    単純、しかも間違いなく行動が得られるシナリオから始める

    シナリオが複雑でアクションステップ、分岐が多いと最後までに到達しないものができ上がってしまいます。結果としてPDCAを回しても何が悪いのかわからないケースもしばしば発生します。これを防ぐため、最初に作るシナリオは見込み客がほぼ確実に辿るフローから構築します。

    例えばMA登録顧客(ホット&コールド混在)

    「メール配信」でノウハウ系のコンテンツを案内し、ホワイトペーパーをダウンロードした。

    これはホットリードを測るうえで最も単純なシナリオです。また、ホットリードが

    「サービス紹介」ページを見たのちに「料金表を含んだサービス詳細PDF」をダウンロードした。

    これはホットリードから営業リストに移行する優良見込み客になります。
    単純なアクションでも、成功例を作ることを積み重ねれば、見込み客の把握が的確に行えるようになり、また複雑なシナリオも設定できるようになります。

    最初はホットリードの獲得からシナリオ化を行う

    MAの目的は「ホットリード(見込み客)を見つける」、そして見つけたホットリードを育成し「優良見込み客リストを作る(営業リスト)」事です。

    すでに前項の事例で示してしまいましたが、最初に作るシナリオとしてはホットリードを見つける事から始めます。この結果によりMAのアクションの戦略がかわります。

    例えば現時点でMAに投入されてリストから、多くのホットリードが見つかれば、「リードナーチャリング(見込み客の育成)」を優先順位高く行うことが先決です。

    もしMAに投入されてリストから、あまりホットリードが見つからなければ「リードジェネレーション(見込み客の発掘)」を主として行う必要があります。

    こうした戦略判断をするうえでホットリードの獲得のシナリオは重要です。

    また、次にホットリードが一定数見つかった状態で「優良見込み客リストを作る(営業リスト)」にトライしましょう。

    トライ&エラーが基本、シナリオとスコアリング

    ここまでで示したシナリオ作成ノウハウは、できるだけ失敗しない進め方を教示させて頂いていますが、それでも効果が思う通り出ないことも多くあります。

    しかし落ち込んでいる必要はありません。MAはトライ&エラーが基本です。できるだけPDCAを多く回し、失敗を通してノウハウをためましょう。この点はMA導入時点である程度覚悟をすべきです。

    また、ついついスコアリングが疎かになりがちですが、MAの神髄はスコアリング管理です。必ず設定しましょう。またスコアリングもトライ&エラーが基本です。初めは難しく考えずスコア設定を行い、精度を少しづつでも挙げていきましょう。

    まとめ

    MAのシナリオは、ツールに直接投入しながら作成することも可能ですが、PDCAによる改善のアクションを行って成果を上げるには、こうした設計書が重要になります。また設計もしっかりとペルソナ、カスタマージャーニーを行うことで失敗の少ない、また失敗してもリカバリーが行いやすいシナリオになります。手抜きなく設計書を作ることが重要であることを理解いただきたいと思います。

    「成果を上げるシナリオの作り方」として

    POINT -ポイント-

    ・初めから数を無駄に作らない、壮大なシナリオを作らない
    ・ホットリードの獲得からシナリオ化
    ・トライ&エラーが基本、シナリオとスコアリング

    について解説いたしました。もちろんシナリオノウハウは、この3ポイントだけではありませんが、この3点をしっかりと押さえればMA導入について後悔することはなくなります。

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    この記事を書いた人 ミニナレ編集部

    株式会社シスコムの記事コンテンツ編集部です。みなさまに価値のある記事の執筆をモットーに、わかりやすい記事を公開することを心がけています!おもにWeb制作や分析、WebデザインなどWebにまつわるノウハウ記事を執筆しています。Web制作やデジタルマーケティングでお悩みのかたは、お気軽にご相談ください!無料相談はこちらからどうぞ→ホームページ工房

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