MA(Marketing Automation) マーケティングオートメーションをビジネスで活用する方法

ミニナレ編集部

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マーケティングオートメーションをビジネスで活用する方法

昨今、MA(マーケティングオートメーション)という言葉をよく耳にします。MAとは、従来は人の手で繰り返し実施してきた定型的な業務や膨大かつ複雑なデータ処理を高速化し、マーケティング施策を効率化する仕組みのことで、安価なMAツールも多数提供されるようになりました。

 

ところが、MAについて知識不足のためツールを導入しておらず、自力でメールマーケティングやプロジェクトの効率化を図るもののうまくいっていない、という悩みを抱えているマーケティング担当者は多いようです。一見、専門用語が多く難易度が高く感じられるMAですが、分かりやすく簡単に扱えるツールもたくさんあり、それらを導入することで企業に大きなメリットをもたらしてくれることは間違いありません。

 

今回は、MAの基礎知識とビジネスでの活用法について解説いたします。MAの基本を押さえ、ビジネスに組み込むことでマーケティングを効率化することができ、将来的に利益を生むことができるでしょう。

目次

    MAとは何の略?マーケティングオートメーションのこと

    まず、MAとは一体どのようなもので、何を実現できる仕組みなのでしょうか。基本情報と、近年普及してきた背景を具体的に見ていきましょう。

    MAとは顧客のニーズに沿ったマーケティング施策

    MAとはマーケティングオートメーション(Marketing Automation)の略で、マーケティングのプロセス全体を自動化するシステムのことです。顧客ごとの興味関心に応じたコミュニケーションを実現し、企業や商品などへのエンゲージメントを高めることで長期的に良好な関係を築くための仕組みです。
    オートメーションという言葉からも分かるように、MAの最大の特徴は「自動化」にあります。例えば、1人の担当者が5人の顧客に対してニーズに沿ったマーケティング施策を行うのは可能ですが、1万人の顧客に対して行うのは現実的ではありません。

    MAなら顧客の膨大なデータを高速で処理し、最適なマーケティング施策を実行し、それぞれの施策がどのような成果につながったかという効果測定までのフローを自動で行うことができます。顧客一人ひとりに合った情報を発信する「One to One」のマーケティングを大量の顧客に対して実施することが可能になるのです。

    MAを実施するためには、顧客のデータを集めることが必要不可欠です。顧客のWeb上における行動履歴や会員情報、売上データ、ユーザーサポートのログなど、顧客行動に関するあらゆるデータをプライベートDMP(Date Management Platform)と呼ばれるプラットフォームに統合することから始めます。その上で、顧客を取引状況やニーズごとにセグメント化し、属性ごとにアプローチすべき施策やアクションのシナリオを構築します。
    もちろん、シナリオ構築などは人の手で行う必要がありますが、その後の実行フローはMAが自動的に行います。そして、効果測定の結果を参照し、マーケティング効果をさらに高めていくためにPlan(計画)、Do(実行)、Check(検証)、Action(改善)のPDCAサイクルを回していくのです。

    顧客データの活用として最も身近かつシンプルな方法は、メルマガの会員登録データでしょう。メルマガの登録時にアンケートで性別や年齢を聞き、20代の女性、30代の男性といったように顧客をセグメント化します。そして、20代の女性向けや30代の男性向けのメルマガを配信することで、顧客は自分の興味関心に適した情報を受け取ることができるようになります。そうすることで、顧客のエンゲージメントが高まり購買行動にもつながりやすくなります。

    MAでは、Web上での顧客行動データさえあればより高度な分析を行うことも可能です。リピート会員の割合や属性、顧客単価、購入した商品カテゴリなどを詳細に分析することで、優良顧客の特徴を割り出すことができます。その上で、他の会員をリピート会員
    に引き上げるためにはどのような施策が必要かを検討し、メールを配信したりWebプロモーションを行ったりすることで、購買数を底上げすることが可能になります。

    デバイスの普及で拡大中?ビジネス業界で注目されるMA市場

    近年スマートフォンやパソコンが普及したことにより、メールやWebサイトを通じて顧客と接触できる機会は確実に増加しています。総務省の「平成29年(2017年)版 通信利用動向調査」によると、2016年時点でのパソコン普及率は73.0%となっており、国民の過半数以上がパソコンを保有していることが分かります。
    また、スマートフォンの普及率を見ると、2010年時点ではわずか9.7%だったものが2016年には71.8%と爆発的に上昇しています。中でも20代の利用者数は圧倒的で、2016年時点で94.2%までに普及しています。

    デジタルデバイスが普及したことにより、各企業で顧客データをマーケティングに活用する動きが活発化しています。これを「デジタルマーケティング」といい、自社や第三者が保有するデータを活用することで、製品やサービスのマーケティングを行い、消費者を購買行動へと導く数々の手法が生み出されました。

    デジタルマーケティングの代表例が、「DMP」と今回のテーマである「MA」です。DMPとはData Management Platformの略で、顧客行動のデータを集約して顧客の特徴を明らかにし、広告やメールをはじめとするマーケティングの施策を支援するシステムです。一方MAは、膨大な顧客データをセグメント化し、シナリオに基づいてマーケティング施策を自動実行させ、顧客一人ひとりに適した情報を届けることで購買確度を高めるシステムのことです。

    これらのデジタルマーケティング市場は、現在活況を見せています。
    矢野経済研究所の2017年の調査によると、2016年のDMPサービスの市場規模は57億7,000万円、2017年には前年比27.2%増の見込みという結果でした。
    MAサービス市場はさらなる拡大を見せており、2016年の市場規模は245億4,500万円、2017年には前年比23.0%増の見込みでした。この背景としては、MAツールにAIを積極的に取り入れることでさらなる効率化が図られていることや、顧客とのコミュニケーションチャネルの多様化からMAへのニーズが高まっていることが挙げられます。

    スマートフォンやパソコンの普及率が上昇したことで、顧客データの収集が容易になっただけでなく、メールやWebプロモーションといった顧客への接点が設けやすくなりました。それにより、デジタルマーケティングは大変有効な施策となりました。上述の通りデジタルマーケティング市場は拡大の一途をたどっており、ビジネス業界からも大きな注目を集めています。MAを導入することは、マーケティング活動を効率化して企業を成長させるためにも非常に有効であるのです。

    MAの活用方法は?業務の効率化・最適化で収益の向上を目指す

    マーケティング施策の効果を引き上げるために重要な役割を果たすMAですが、具体的にどのような方法で活用すればよいのでしょうか。ここからは、MAの活用方法を事例も併せて紹介していきます。

    顧客属性に合わせたクリエイティブ・広告戦略(Webパーソナライゼーション)

    広告やメールマガジンを実施すれば効果が得られるということで、やみくもに施策を実行したものの結果が得られなかった、という会社も散見します。

    デジタルマーケティングに関わらず、マーケティング施策はターゲットを選定し、顧客の心に響くものでないと売り上げにはつながりません。そのため、MAを用いて顧客属性に合わせたWebプロモーションやメールマガジンを実施することが重要になります。

    MAの活用は、顧客属性をデータで取得することから始まります。性別や年齢、国籍、居住エリア、購買履歴、Webサイトの閲覧履歴など、可能な限り多くの顧客データをストックしておきます。そのデータを分析すると、購買単価が高くリピートしてくれている優良顧客と、購買単価が低く1度しか購入していない休眠顧客の特徴が見えてくるはずです。そこで、優良顧客はさらに購入してもらえるように、休眠顧客は購入意欲を高めてもらえるように施策を実施することになります。効果的なマーケティングには、まずは顧客の属性を把握することが大切になるのです。

    デジタルマーケティングで実施する施策は、顧客の属性に合わせることが重要になります。例えば、男性に向けて女性向けの服や化粧品をメールマガジンで紹介しても購入にはつながりません。10代の若者に高級な健康食品のWebプロモーションを表示しても高い効果は見込めないでしょう。このように、顧客属性とマッチしないマーケティング施策を実行しても効果は薄まってしまうのです。

    では、効果の高いマーケティング戦略とはどのようなものになるのでしょうか。例えば、20代の女性に夏のトレンドファッションアイテムのセール情報をメール配信すると、購買意欲を高めることが期待できます。また、過去に健康食品を購入した顧客に割引案内のメールを送ると、購入してもらえる可能性が高まります。そして、高齢の顧客には関節痛に効くサプリメントなどを同時に紹介することで、同時購入も見込めるでしょう。このように、ターゲットの顧客が求める情報を適切に提供することで、マーケティング施策の効果は大幅にアップします。さらに、顧客の購買行動などによって行われるセグメントは、細かいほどその効果が高まるといえます。

    顧客属性に応じた施策は、数人から数十人程度なら人の手で対応することも不可能ではありませんが、数百人、数万人規模になると適切なデータを取り出すこともままなりません。そこで活躍するのがMAです。MAなら膨大な顧客データを属性ごとに、自動かつ高速に分析することができるので、顧客属性を割り出す手間も時間もかからないのです。その分、マーケティング担当者は、抽出された顧客属性に優先度をつけて、どのような施策を実行すべきか検討することに注力することができます。そして、その施策をMAで自動化することでさらに効率的にマーケティング施策を実施することが可能になります。MAでは、顧客の属性や購買状況に応じて自動でメールマガジンを配信できるシステムなど、さまざまな取り組みができる仕組みが整っています。

    膨大な顧客データを有効に活用し、効果的なクリエイティブでマーケティング施策を実行する場合、MAは必要不可欠なツールといえるでしょう。

    顧客属性に合ったコミュニケーションを自動化する

    MAの魅力はマーケティング施策の自動化にありますが、効果を上げるためには「顧客とどのようなコミュニケーションを取りたいのか」というシナリオを十分に練っておくことが重要になります。

    そのためには、顧客属性に応じてターゲットを選定しなければなりません。20代前半の独身男性が子ども服のセール案内を受け取っても興味は持ちませんし、10代の女性が男性向けの高級腕時計の案内を見ても購入しようとは思いません。むしろ、自分に全然関係ない情報ばかり送ってくると不愉快な思いを抱き、メールマガジンや広告をブロックするなど、企業とのコミュニケーションを閉ざしてしまう可能性もあります。そうならないためにも、「この企業はいつも自分にぴったりな情報を届けてくれる」と感じてもらえるよう、ターゲットを明確に分けておくことが大切になるのです。

    そして、ターゲットとなる顧客を企業の望む行動に導くためにシナリオを作成します。まずは見込み顧客や優良顧客といったライフサイクル軸、商品の購入やカート落ちなど行動軸、性別や年齢などの属性軸など、複数の軸を掛け合わせてターゲット顧客をセグメント化しましょう。次に、いつコミュニケーションを取るかを検討します。初回購入後にフォローメールを送ったり、コンバージョン直前での離脱顧客にリマーケティング広告を実施したりと、どのような行動を取ったタイミングで接点を持つと購入の可能性が高まるのか、シナリオを描いてください。そして、そのタイミングで何の情報を届けるのかを策定します。セール情報やレコメンド商品情報など、ターゲット顧客が最も興味を持ちやすい内容を設定しましょう。その情報を、どのようにして届けるかを決定します。メールマガジンや複数のメールをスケジュールに沿って配信するステップメール、Webプロモーションなど幅広いチャネルから選択しましょう。

    健康食品の企業が顧客をリピーター化させる場合の施策を例に考えてみます。まず、サイトに会員登録した時点で「初回割引」のセール情報をメールで届けた場合、初回購入につながる確率を高めることができます。初回購入後にも次回利用できる「2回目割引」の情報を提供すると、再購入が見込めるようになります。複数回購入してくれるリピーター顧客に育てるために、定期購入では10%割引を適用したり、配送料を無料にしたりと、さまざまなサービスをメールマガジンで提案すると、顧客のエンゲージメントを高めることができるでしょう。

    これらの施策は、MAで自動化することができます。健康食品を使い切る直前のタイミングで2回目の購入を促すメールを発信したり、購入期間が空いてしまった場合にセールなどお得な情報を届けたりと、さまざまな対策が考えられます。自動メールは一度設定すれば、MAが顧客の状況に応じて自動で送信してくれるので、担当者の手を煩わせることもありません。

    マーケティング施策の効果を最大限に引き上げ、MAを活用するためには、シナリオ設定が何よりも重要になるのです。

    MAを導入する方法は?分からないときは専門家に頼るのも手

    マーケティングを自動化でき、作業効率を格段に高めることのできるMAですが、ターゲットの設定やシナリオ策定では人の力が必要になります。

    MAを導入する場合、まずは前述したようなターゲットやタイミングなどマーケティング戦略を立案します。次に、MAの運用ルールを定めます。抽出した生データを営業部に提供したり、営業担当者の支援ツールであるSFA(Sales Force Automation)と連携したりと、目的と目標に応じて業務フローを設計しましょう。

    顧客データを回収するに当たり、まずはWebサイトのトラフィックを増やす必要があります。リードを獲得するためにも、SEO対策を講じたコンテンツマーケティングを企画しましょう。そして、ブログ記事やメールマガジン、ダウンロードコンテンツなどを制作します。これらが準備できたら、MA上にシナリオを登録して自動配信できる状態にします。実際に運用が始まった後は、効果測定を行いつつPDCAサイクルを回していきます。

    MAの導入には対応する担当者だけでなく、プログラミングやシステムに対する知識や技術も必要となってきます。新しい人を採用したり、社員にゼロから学ばせたりという方法もありますが、それでは運用までに時間がかかってしまいます。また、マーケティング戦略の立案やコンテンツ制作などは、社員では対応しきれない部分もあるでしょう。

    そのような課題を解決するためには、外部の協力会社にMAの導入と運用を委託するのも一つの手です。MA市場が拡大する中で、ツールの提供会社やコンサルティング会社が多数誕生しています。MAの導入に失敗しないためにも、コストや将来性を十分に検討した上で協力会社を探してみることもおすすめします。

    まとめ

    MA(マーケティングオートメーション)を活用すれば、膨大な顧客データからニーズを掘り起こし、一人ひとりに刺さるマーケティング施策を実行することが可能になります。そして、MAの効果を最大限に発揮させるためには、顧客属性に合わせたマーケティング戦略を取り、顧客の興味に応じたクリエイティブを作成する必要があります。しかし、それらには専門知識と人手が必要になるため、MA導入ではマーケティングの専門家に協力してもらうことをおすすめします。

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    この記事を書いた人 ミニナレ編集部

    株式会社シスコムの記事コンテンツ編集部です。みなさまに価値のある記事の執筆をモットーに、わかりやすい記事を公開することを心がけています!おもにWeb制作や分析、WebデザインなどWebにまつわるノウハウ記事を執筆しています。Web制作やデジタルマーケティングでお悩みのかたは、お気軽にご相談ください!無料相談はこちらからどうぞ→ホームページ工房

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