オールドメディアへの「消極的信頼」が明らかに オールドメディアのメリット、“特になし”が最多。でも「残してほしい」理由とは?
- 公開日
2026.03.27
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2025年の「新語・流行語大賞」では、「オールドメディア」というワードがトップテン入りを果たしました。
オールドメディアとは、インターネット以前から存在する伝統的なメディアを指します。主に新聞、テレビ、ラジオ、雑誌が当てはまり、それらに対してインターネットを基盤とした新しいメディア(SNSやWebニュース)は「ニューメディア」と呼ばれています。
SNSをはじめとするニューメディアでは、一般の人たちのオールドメディアに対する様々な声を見ることができます。
そこでは一見批判や「オールドメディア離れ」とも思われる言葉も並びますが、実際はどうなのでしょうか。
インターネットもラジオにも関わりのあるシスコムでは、オールドメディアの実態把握にあたるべく、全世代を対象にアンケートを実施しました。※調査時期:2025年12月16日~2025年12月18日
PR TIMESにて調査結果を公開:【「信じないシニア」と「知らない若者」―オールドメディアから離れる3つの理由】
(PR TIMESのアンケート結果記事ページが別ウインドウで開きます)
本記事ではそこから得られた結果をもとに、オールドメディアの現在地について深堀していきます。
目次
アンケート調査結果:オールドメディアに対する現状
10〜60代以上の男女577名を対象に実施した「オールドメディアに関するアンケート」の結果です。
最も信頼できるメディアはどの世代も「テレビ」。一方、世代別で明確な差も

「ニュースや情報を取得する際、最も信頼できると思うメディア(最大3つ選択)」は何かを尋ねたところ、全体ではテレビが54%(312名)で1位となりました。
興味深いのは、20代を除く全世代で「テレビ」が最も多く選ばれた点です。「SNS・動画共有サイト」がトップとなった20代をはじめ、SNSや動画サイトの利用率が高い世代であっても、“信頼性”という観点ではテレビが優位であることがわかりました。
一方、3つの世代に分けて詳しく内訳をみてみると1つの流れが見えてきました。
時代の流れとしてはニューメディアへの移行がうかがえる
グラフにすると、世代間で「テレビ・新聞の維持」と「SNS・動画への主役交代」の境界が明確に現れてきました。
50代以上ではオールドメディア群(テレビ・新聞・ラジオ・雑誌)がバーの6割以上を占める一方、15-29歳ではSNSとアプリの面積が増え、オールドメディアの割合は半数を切っています。

※グラフ内数値は、各世代の全回答数に対する構成比(シェア)を表示。
※複数回答のため、選択率の実数とは異なります。
各世代ごとに詳しくみていきます。
50代以上の回答に絞ると、オールドメディアへの依存が極めて顕著です。テレビと新聞の2媒体が50代以上の情報インフラとして依然として不動の地位を築いていることがわかります。
さらにほか世代では大きく差が開いていたラジオとSNSは拮抗していることから、ラジオの接触率もほか世代と比べて大変高い結果となっています。
30-49歳層は、SNSは新聞とほぼ同等で、依然として既存メディア(テレビ・新聞)を主軸としているのに対し、15-29歳層ではSNSが新聞を抜き去り、テレビに肉薄する主要インフラへと変貌しています。
雑誌と新聞に対する若年層のスタンスにも注目です。
雑誌はわずかな数値しか獲得していませんが、新聞(電子版含む)は4人に1人(25.4%)が選択しており、極端な離脱は起きてませんでした。新聞に対しては一定の信頼があるようです。
オールドメディアのメリットは「特になし」が最多、一方災害大国ならではの需要も

「新聞やテレビなどのオールドメディアは、インターネットやSNSなどのニューメディアに比べて、どのような点で優れている(メリットと感じる)と思いますか?」と尋ねた質問では、「特にメリットはない」が33.6%(回答数194)で最多となりました。
また「報道が公平・中立的であると感じる」は、10代と60代以上で約3倍の差が出ており、今回の調査の中で“最も世代間ギャップが大きい項目”となりました。
これは、60代以上はテレビ・新聞を“公的な情報源”として信頼しており、10代は “多様な視点”に触れることで1つのメディアを“絶対視”しないという傾向があるのかもしれません。メディア環境の違いがそのまま価値観の差として表れている結果といえるのではないでしょうか。
一方、「信頼性が高い」(32.6%/回答数188)、「緊急時の情報源として欠かせない」(28.4%/回答数164)といった回答も多く、“日常的なメリットは感じないが、いざという時には必要”という心理が透けて見えます。
オールドメディアが優れていると感じる具体的な理由はいったいなんなのでしょうか。コメントを一部交えながら紹介します。
メリット(優れている点)意見ランキング
MERIT -メリット-
- 1位 信頼できる・チェック体制がある(104件/有効回答約230件)
- 2位 緊急時の速報が早い・正確(86件)
- 3位 「情報がまとまっている、わかりやすい」(38件)
1位に関しては、「匿名性が高いネットの情報は信用性が低い(30代)」など、SNSはフェイクやデマが多いという不信感の裏返しとして、組織としての「取材力」や「校閲・審査」に価値を感じているようです。
また若年層は「SNSは嘘の書き込みが多い(10代)」など、見極めを意識しているコメントが目立ち、60代以上では「記者たちが取材している現場を拝見して(60代)」といった現場取材への敬意という視点が入るようになりました。
2位に関しては、「SNSは、緊急時に正確な情報を得られない時があるから(10代)」など、「速報=ネット」という常識がある一方で、災害時に限っては「一番早く、かつ正確なのはテレビ」という強い信頼感が全世代で見られました。
どの世代も「地震」「災害」での必要性を挙げていますが、高齢層では「緊急速報が出た時、専門家などによる詳しい解説がある(70代)」など、「専門家による解説」や特番までセットで求めている傾向がみられました。
3位に関しては、「ニュースの解説があって内容が把握しやすい(50代)」「文字起こししているので(60代)」など、映像や図解、あるいはプロの解説によって「短時間で要点がわかる」点が高く評価されています。
世代別特徴では「ネットやテレビのように最新ではないが、事件等の詳細、背景を知るには欠かせない(60代)」など、高齢層はプロが編集・選別して提示してくれる「親切さ」に価値を見出しているのが印象的でした。
番外編:「情報の受動性」
ランキング外ですが、「とても便利だしすぐに情報を得る事ができるから(30代)」のように、テレビをつけていれば勝手に情報が入ってくる(受動的で楽)という意見も数件ありました。検索疲れを感じている層が一定数支持しているようです。
これから求められるメディア像とは
全544件のうち300件以上、半数以上がメリットを感じていない、あるいは批判的な回答でした。
メリットを感じていない層(ネガティブ・無関心)」に絞って世代別に分析したところ、「なぜメリットを感じないのか」の理由に、世代間で非常に明確な優位差(特徴的な違い)が見られました。
これを受け、各世代にはどのようなアプローチが有効的なのかを考察します。
1. 若年層:メディアとしての「認識不足」、SNSがテレビの背中を捉える
10代・20代の回答で最も多かったのは、批判ですらなく「特になし」「使っていないのでわからない」という無関心層です。
オールドメディアを「信頼できる/できない」の土俵に乗せる前に、日常のインフラから外れている様子が伺えます。
SNSがテレビの背中を捉え、テレビ1強時代の終焉が最も近い世代であることをデータでも示唆しています。
数年以内にSNSが首位に立つことを前提に、映像コンテンツの尺やフォーマットをSNS(縦型・短尺)へシフト化させることが必要になってきそうです。
2. 中堅層:タイパ(タイムパフォーマンス)の欠如
30代・40代は、オールドメディアの「受動性(流れてくるのを待つ)」や「スピード感のなさ」にメリットを感じていません。40代では特にほかの世代に比べニュースアプリやWebサイトを利用する傾向にありました。
「自分で検索して納得したい」という能動的な情報摂取スタイルと、オールドメディアの「一方的な発信」がスタイルと合っていないようです。
この層にはSNSのバズ狙いよりも、SmartNewsやYahoo!等のニュースプラットフォームでの「記事としての深掘り」や「信頼性のあるトピック」が最も刺さります。
3. 高年齢層:激しい「信頼の崩壊」
高年齢層、特に60代以上の「メリットを感じない」層は、他の世代に比べて回答が非常に具体的かつ長文になる傾向がありました。
メディアへの期待値が高い分、特定の思想への偏りや他国偏重の報道(と本人が感じる内容)に対して拒絶反応を示しています。「最近は偏向報道もあり、全てが信用できるわけではない(70代)」など、「かつての信頼が裏切られた」という文脈も見られました。
新聞の購読を継続している人が多いこの層は「正確な情報には対価を払う」意識がほか世代より多いと言えます。
利便性でSNSと競うのではなく、「この記事は〇名の記者がチェックした」といった情報の製造工程を可視化させる「信頼のブランド」を前面に出した課金モデルの構築が有効といえそうです。
「今後も残ってほしいメディア」はテレビが1位

アンケートの結果、「今後も残ってほしいメディア」としてテレビを挙げた回答者が最も多く、全体の半数(55.3%)に達しました。
特筆すべきは世代別の捉え方です。SNSを主な情報源とする10代・20代の若年層においても、「テレビは残ってほしい」という声が根強く、そこには “日常”と“非常時”での情報の使い分けという、現代特有のメディア・リテラシーが浮かび上がっています。
自由回答に見る“オールドメディアの心理的価値”
若年層では、普段はSNS中心、しかしさまざまな視点を得たいという理由からテレビも支持という“使い分け”が顕著です。
自由回答では、テレビとニューメディアの複数選択は10代20代でも目立ち、「それぞれ違うよさがあると思うから(10代)」「情報の精度と速さ、多様な意見がバランス良く必要だと考えるから(20代)」といったコメントを寄せています。
一方、全世代でオールドメディア(特にテレビ・新聞)に対して、災害時での必要性のほかに、「文化的な面」「精神的な支え」「日常の一部」としての価値を見出していることが分かります。
(新聞に対し)「風情がある(10代)」、(テレビに対し)「番組が時計替わりになるため(30代)」、「新聞などの活字は情報として残るし、読み終わった後、他の人とも共有できる。ラジオは災害時にいち早く情報を得る手段として効果的な気がするから(40代)」「なくなると寂しい。テレビは、特に残ってほしい(50代)」など、親しみや慣れていることを理由にあげるコメントが見られました。
オールドメディアは「日常の利便性」より「非常時の信頼性」で支持されている

今回の調査では、オールドメディアのメリットとして「特にない」が最多でありながら、「残ってほしいメディア」ではテレビが1位となるという、一見矛盾した結果が得られました。しかしその背景には、“いざという時に頼れる存在”としての信頼が確かに存在しています。
若年層も普段の情報収集はSNS中心ですが、情報の不安定さから信頼はテレビに置いていることがわかりました。“オールドメディア離れ”の実態は、「利用頻度の問題」であり「信頼の問題」ではないといえそうです。
特に、日本は災害大国であるため「災害対応メディア」としてテレビの存在意義が大きく認められていることがわかりました。
ただし、「積極的に選んでいる」のではなく「他が信じられないから、消去法で最後はテレビに戻る」という「消極的信頼」を含むことにも注意が必要です。
とはいえ、ラジオはネットがあれば聴ける配信サービスが、新聞では電子版が生まれ利用されているように従来からのメディアが形を変えて私たちに届けられることも増えました。
SNSや動画配信サイトなど情報を得る選択肢は増えましたが、オールドメディアと呼ばれる媒体が本当の意味で消えることはまだしばらくないのかもしれません。








